買取と仲介の違い
同じ物件でも、買取と仲介では手元に残る金額と入金までの時間、引渡し後の責任が変わります。制度の決まりと仮定の数値例で、差がどこから生まれるかを整理します。
買取は宅建業者などが買主として直接買う方法、仲介は宅建業者に媒介を依頼して買主を探す方法です。違いは「価格」だけでなく、手数料の有無、入金までの期間、売主が負う契約不適合責任の範囲に出ます。以下は一般論で、数値例はすべて仮定です。
仕組みの違い
| 項目 | 直接買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 買主 | 買取をする事業者(宅建業者など) | 宅建業者が探した第三者(個人・法人) |
| 価格の決まり方 | 事業者の提示額。再販・活用の費用とリスクを見込んで出される | 売出価格を決め、買主との交渉で成約価格が決まる。査定額は成約を保証しない |
| 仲介手数料 | 事業者が直接買主になる場合は媒介がないため発生しない(間に仲介業者が入れば発生) | 媒介報酬の上限内で発生 |
| 入金までの期間 | 買主が決まっているため、契約・決済日程を合わせやすい | 買主探しの期間が読みにくい |
| 契約不適合責任 | 免責特約を条件とする提示が出ることがある(売主が個人の場合) | 買主の希望に応じて責任の期間・範囲を特約で定める |
| 現況・残置物 | 現況のまま・残置物ありを条件にした提示が出ることがある | 内覧や引渡しの条件に合わせて、片付け・補修を売主側で行うかを決める |
| 契約上の拘束 | 売買契約のみ | 媒介契約(一般・専任・専属専任)を結ぶ |
手数料:仲介手数料の上限
宅建業者が売主または買主の一方から受け取れる仲介手数料には上限があります。国土交通省の案内では、物件価格を区切って料率を掛けて合計する方式で、税別1,000万円の物件なら上限は税込39.6万円です。物件価格が400万円を超える部分を含む場合、計算結果は「価格×3%+6万円」に消費税を加えた額と一致します。
低廉な空家等の特例:令和6年(2024年)7月1日以降、物件価格800万円以下の宅地・建物(使用の状態を問わない)については、売主または買主の一方から、原則の上限を超えて「30万円×1.1倍」以内の額を受け取れます。適用には媒介契約の締結時に上限額の範囲内で合意しておくことが重要とされています。
期間:媒介契約のルール
- 専任媒介契約(専属専任を含む)の有効期間は3か月を超えることができず、更新も依頼者の申出が必要です(宅建業法34条の2)。
- 専任媒介では2週間に1回以上、専属専任媒介では1週間に1回以上、業務の処理状況の報告を受けられます。
- 専任媒介を結んだ宅建業者は、国土交通省令で定める期間内に物件を指定流通機構に登録し、登録を証する書面を依頼者に渡します。
仲介でいつ売れるかは市場と物件次第です。期限がある場合は、媒介契約の期間と、価格を見直す時期をあらかじめ決めておきます。
契約不適合責任の扱い
売主が個人の場合、責任を負わない・期間を短くする特約は結べますが、知りながら告げなかった事実は免責されません(民法572条)。宅建業者が自ら売主となって宅建業者でない買主に売る場合は、引渡しから2年以上とする特約を除き、民法の期間より買主に不利な特約はできません(宅建業法40条)。買取業者が買い取った物件を一般の買主に再販するときはこの制限を受けるため、補修や責任の負担をどう見込んだ価格なのかは、提示の根拠として聞いておきたい点です。詳しくは雨漏り・シロアリと契約不適合責任を参照してください。
数値例(すべて仮定)
| 項目 | 直接買取 | 仲介(想定どおり) | 仲介(価格見直し後) |
|---|---|---|---|
| 価格 | 2,000万円 | 2,500万円 | 2,350万円 |
| 仲介手数料(上限・税込) | 0円 | 89.1万円 | 84.15万円 |
| 抵当権抹消などの登記費用 | 3万円 | 3万円 | 3万円 |
| 片付け | 0円(残置物ありで引渡しの条件) | 40万円 | 40万円 |
| 補修 | 0円(現況) | 30万円 | 30万円 |
| 保有費(月5万円) | 1か月 5万円 | 6か月 30万円 | 8か月 40万円 |
| 差引額 | 1,992万円 | 2,307.9万円 | 2,152.85万円 |
| 売主の責任 | 免責特約(仮定) | 引渡し後の一定期間、責任を負う特約(仮定) | 同左 |
この仮定では仲介の方が約160万〜316万円多く残りますが、期間が延びる、価格をさらに下げる、引渡し後に不具合の請求を受けるといった要素で差は縮みます。逆に、期限が決まっている・近所に知られずに売りたい・残置物や不具合をそのまま引き渡したいといった事情があれば、差額を「確実性の対価」として比べることになります。自分の数字はトップページの比較計算で入れ替えて確認できます。
どちらを先に検討するかの目安
| 状況 | 先に確認したい方法 | 関連ページ |
|---|---|---|
| 相続税の納付や住み替えなど、現金化の期限が近い | 買取(複数社の提示) | 査定比較 |
| 再建築不可・借地・共有持分など、一般の買主が見つかりにくい事情 | 買取と仲介の両方で前提をそろえて査定 | 再建築不可・借地権・共有持分 |
| 建物の状態は良く、期限に余裕がある | 仲介 | 売却方法の比較 |
| 雨漏り・シロアリなど不具合を把握している | 修理後の仲介と、現況・免責の買取を比較 | 契約不適合責任 |
| 人の死に関する事案がある | 告知内容を整理したうえで両方を比較 | 告知の範囲と期間 |
仲介手数料の額や特例の適用、媒介契約の内容は契約前に宅建業者から書面で説明を受けてください。税金を含めた手取りは税理士・税務署で確認してください。