雨漏り・シロアリ

雨漏り・シロアリと契約不適合責任

不具合を知っている家をどう売るか。売主の責任の範囲を民法の条文で確認し、免責特約で何が免れ、何が免れないかを整理します。

このページの要点

雨漏りやシロアリ被害は、売買では「契約の内容に適合しない」状態として売主の責任(契約不適合責任)が問題になります。免責特約を結んでも、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。知っている不具合は書面で伝えることが基本です。

契約不適合責任の基本

令和2年(2020年)4月1日施行の民法改正(債権法改正)後の売買では、引き渡した物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して次の請求などができます。

買主の権利内容条文
履行の追完修補(修理)など民法562条
代金減額追完がされないときなど民法563条
損害賠償・解除債務不履行の一般規定による民法564条

通知の期間(民法566条):種類・品質の不適合は、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、これらの請求ができなくなります。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、この期間制限はありません。

免責特約と、その限界

売主が責任を負わない、または期間を短くする特約(免責特約)は結ぶことができます。ただし民法572条により、売主が知りながら告げなかった事実などについては、特約があっても責任を免れません。

売主買主特約の扱い
個人個人・宅建業者免責特約・期間短縮の特約は可能。ただし民法572条の限界あり
宅建業者宅建業者でない買主宅建業法40条により、民法566条の期間より買主に不利な特約は不可。引渡しから2年以上とする特約は可

個人が宅建業者に直接売る買取では、売主が個人のため宅建業法40条の制限はかからず、免責を条件にした提示が出ることがあります。どの範囲を免責にするのか(雨漏り・シロアリ・給排水・建物全体など)を条項で確認します。

雨漏り・シロアリで売主が用意する情報

建物状況調査(インスペクション)の使い方

建物状況調査は、建物の構造耐力上主要な部分等の状況を、国土交通省令で定める者が調査するものです。仲介の場合、宅建業者が交わす媒介契約書には、調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載することになっています(宅建業法34条の2)。国土交通省は、調査が瑕疵の有無を判定するものではないことを標準媒介契約約款に明記したと案内しています。

売却前に調査をしておくと、不具合の有無と程度を書面で説明でき、修理してから売るか、現況のまま免責特約付きで売るかの判断材料になります。

修理してから売るか、現況で売るか

【仮定】現況・免責特約付きの買取提示1,800万円と、屋根修理150万円・シロアリ処理20万円をして仲介で2,100万円で売る想定(仲介手数料上限は税込75.9万円、売却まで6か月で保有費月4万円)。

仲介側の手取り要素は 2,100万−150万−20万−75.9万−24万=1,830.1万円。差は約30万円で、売主が負う契約不適合責任の期間や、修理後の再発リスクをどう評価するかで判断が変わります。数字はすべて説明用の仮定です。

買取と仲介の違いを見る契約と決済の確認へ
出典・参照した一次情報(確認日:2026年10月11日)

特約の文言と効力は契約ごとに判断されます。契約書の条項は署名前に宅建業者から説明を受け、不明点は弁護士に相談してください。建物の状態は建築士による調査で確認してください。