残置物・ゴミ屋敷の家を売る前に
片付けてから売るか、残置物ごと売るか。費用の比較の前に、相続財産の扱いと、家庭ごみを誰に頼めるかを確認します。
家庭から出る不用品は一般廃棄物で、市区町村の回収か、一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ事業者に頼むのが原則です。相続した家では、片付けの前に「処分してよいか」を確認します。相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなる場合があるためです。
片付けを始める前に:相続財産の処分と単純承認
民法921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています(保存行為などは除く)。相続放棄や限定承認を検討している段階で家財を売ったり捨てたりすると、この規定との関係が問題になり得ます。相続の方針が決まっていない場合は、片付けの範囲を司法書士・弁護士に確認してから進めます。
- 通帳、権利証(登記識別情報)、契約書、保険証券、貴金属などは処分せず別に保管する
- 写真・手紙など、相続人間で扱いを決めたい物を先に分ける
- 家電や家具を売却する場合は、相続人間の合意を書面に残す
処分ルートと許可
| ルート | 対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 市区町村の回収(粗大ごみ・持込みなど) | 家庭ごみ | 大量に出る場合は事前に清掃担当へ相談 |
| 一般廃棄物の収集運搬の許可業者 | 家庭ごみ | 許可は市区町村ごと。許可番号を確認 |
| 家電リサイクル法のルート | テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機 | リサイクル料金と収集運搬料金がかかり、家電リサイクル券が発行される |
| 買取・リユース | まだ使える物 | 相続財産の場合は上記の単純承認に注意 |
杉並区は、業の許可がない不用品回収業者に料金を払って家庭ごみを渡すと廃棄物処理法違反になること、産業廃棄物の許可や古物商の許可があっても家庭ごみの収集運搬はできないことを案内しています。環境省も「無許可」の回収業者を利用しないよう呼びかけています。
ゴミ屋敷状態の家を売るとき
物量が多い家は、片付けてから売るか、残置物ごと買い取る事業者に売るかで、費用と期間が大きく変わります。空き家のまま放置して周囲に悪影響が出ると、空家法の管理不全空家等として市町村から指導・勧告を受ける可能性もあります(空き家の売却と空家法)。
| 方法 | 売主がすること | 契約で確認すること |
|---|---|---|
| 片付け後に売る | 見積取得、立会い、費用負担 | 引渡し時に「何も残さない」状態の定義 |
| 残置物ごと売る | 貴重品・書類の回収のみ | 残置物の所有権放棄、処分費の負担者、引渡し後に出てきた物の扱い |
片付け見積を比べる項目
- 一般廃棄物収集運搬の許可(どの市区町村の許可か)と、提携先の有無
- 見積の数量の根拠(部屋数、トラックの台数、作業人数)
- 家電リサイクル料金・収集運搬料金が別記されているか
- 追加料金が発生する条件と上限、キャンセル料
- 引取書・領収書が発行されるか
計算例:残置物ありの提示と片付け後の提示
【仮定】残置物そのままの買取提示1,500万円と、片付け後に売る想定1,650万円(片付け見積120万円、片付け期間1か月分の保有費5万円)。
1,650万−125万=1,525万円で差は25万円。見積の追加料金や工期延長があれば逆転します。数字はすべて説明用の仮定です。
家庭ごみの出し方と許可業者の情報は市区町村ごとに異なります。物件所在地の清掃担当窓口で確認してください。相続放棄を検討中の場合は、片付けの前に司法書士・弁護士へ相談してください。