底地の評価額はいくら?借地権割合で計算して売却手取りと比べる

※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日

結論

借地権が付いた土地(底地、相続税の評価では「貸宅地」)の相続税評価額は、国税庁の算式で「自用地としての価額−自用地としての価額×借地権割合」、つまり「自用地価額×(1−借地権割合)」で求めます。借地権割合60%の地域なら、更地としての評価額の40%が底地の評価額です。

ただし、この評価額は相続税・贈与税を計算するための数字で、売れる価格ではありません。底地の売却価格は、買い手が借地人か、地主から底地を買う事業者か、第三者の投資家かによって変わり、評価額と大きく離れることがあります。売る前に「評価額」「提示価格」「税引後の手取り」の3つを分けて比べることが大切です。

本記事では、評価額の計算手順、売った場合の譲渡所得の計算例、比べ方の手順を整理します。価格や税の個別判断は、不動産会社・税理士・専門家で確認してください。

根拠:国税庁の評価方法

貸宅地(底地)の評価(No.4613)

国税庁タックスアンサーNo.4613「貸宅地の評価」(令和8年4月1日現在法令等)は、貸宅地を「借地権など宅地の上に存する権利の目的となっている宅地」と定義し、借地権の目的となっている宅地の価額を「自用地としての価額−自用地としての価額×借地権割合」で評価するとしています。

また、借地権の取引慣行がないと認められる地域にある貸宅地は、借地権割合を20%として計算します。この場合、底地の評価額は自用地価額の80%になります。

定期借地権の目的となっている宅地は、残存期間に応じた割合(5年以下5%、5年超10年以下10%、10年超15年以下15%、15年超20%)を使う方法などが別に定められています。普通借地権か定期借地権かで計算が変わるため、まず契約書で種類を確認します。

借地権の評価(No.4611)と借地権割合

No.4611「借地権の評価」では、借地権の価額は自用地としての価額に借地権割合を掛けて求め、借地権割合は借地事情が似ている地域ごとに定められ、路線価図や評価倍率表に表示されているとしています。路線価図では路線価の数字の後ろにアルファベット(A〜G)が付き、これが借地権割合を表します。記号と割合の対応は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」サイトの説明で確認してください。

底地の評価額と借地権の評価額を足すと、自用地としての価額に一致します。評価上は「土地の価値を地主と借地人で分け合っている」と考えるイメージです。

計算例

手順1:自用地としての価額を出す

路線価方式の地域では、自用地としての価額は「路線価×面積」に、土地の形や奥行きに応じた補正率を掛けて求めます。ここでは補正を省いた説明用の仮定で計算します。

項目値(説明用の仮定)
路線価30万円/㎡
面積150㎡
自用地としての価額30万円×150㎡=4,500万円
借地権割合60%

手順2:底地と借地権に分ける

区分計算評価額
底地(貸宅地)4,500万円×(1−0.6)1,800万円
借地権4,500万円×0.62,700万円
借地権の取引慣行がない地域の底地4,500万円×(1−0.2)3,600万円

同じ土地でも、借地権の取引慣行があるかどうかで底地の評価額が2倍違うことが分かります。

手順3:売った場合の譲渡所得と手取り

相続した底地を1,500万円で売る場合(価格は説明用の仮定)を考えます。相続で取得した土地は、被相続人の取得費と取得時期を引き継ぎます(所得税法第60条)。取得費が分からない場合は、売却額の5%を概算取得費とする方法があります。

項目金額
売却価格15,000,000円
概算取得費(5%)750,000円
仲介手数料(上限:(1,500万円×3%+6万円)×1.1)561,000円
売主負担の印紙税(軽減後)10,000円
譲渡所得13,679,000円
所得税(長期15%)2,051,850円
復興特別所得税(所得税額の2.1%)43,088円
住民税(5%)683,950円
税引後の手取り(概算)約11,650,000円

この例では、評価額1,800万円に対して売却価格1,500万円、税と費用を引いた手取りは約1,165万円です。底地は居住用財産ではないため、マイホームの3,000万円特別控除は使えません。相続税を納めた人は、一定期間内に売れば相続税の一部を取得費に加算できる特例(租税特別措置法第39条)があるため、税理士に確認してください。借地人に直接売る場合など、仲介を使わなければ仲介手数料はかかりません。

手順4:持ち続けた場合と比べる

売らずに持ち続けた場合の比較も、同じ単位でそろえます。仮に地代収入が年54万円、底地にかかる固定資産税・都市計画税が年15万円なら、税引前の手残りは年39万円です。売却した場合の手取り約1,165万円を年39万円で割ると約29.9年分に当たります。地代収入にも所得税・住民税がかかること、地代の改定や更新料、借地人からの買取りの申し出の可能性などで実際の比較は変わりますが、「何年分の地代と同じか」を出しておくと、提示価格を受けるかどうかを考える材料になります。

評価額と提示価格、仲介と買取の手取りを並べるときは、2案の手取り比較に提示価格・費用・入金時期を入れると比べやすくなります。

売り方ごとの確認ポイント

売り先特徴確認すること
借地人買えば借地人は土地と建物を一体で所有できる借地人の資金、価格の根拠、測量・境界
底地を買い取る事業者借地関係を引き継いだまま買う提示価格の根拠、地代・更新料の扱い、契約不適合責任
借地権と底地を同時に第三者へ地主と借地人が協力して更地に近い形で売る代金の分け方、両者の合意
借地権と底地の交換土地を分けて、それぞれが完全な所有権を持つ分け方、測量、税務上の扱い

借地権の譲渡や建替えに地主の承諾が必要なこと、承諾に代わる裁判所の許可(借地借家法第19条)などのルールは借地権・底地の売却で整理しています。買取業者に売るか仲介で探すかの違いは買取と仲介の違いで比べられます。

売る前の手順

  1. 契約書を確認する:普通借地権か定期借地権か、旧借地法の契約か、地代・更新料・承諾料の取り決め、契約期間を確認します。
  2. 評価額を計算する:路線価図で路線価と借地権割合の記号を確認し、自用地価額×(1−借地権割合)で底地の評価額を出します。倍率地域では評価倍率表を使います。
  3. 地代収入と比べる:持ち続けた場合の地代収入と固定資産税などの負担を書き出し、売った場合の手取りと比べます。
  4. 複数の提示を同じ条件で比べる:価格だけでなく、測量費・登記費用の負担、引渡し時期、契約不適合責任の扱いをそろえます。
  5. 相続登記を確認する:相続した底地を売るには、先に相続登記が必要です。

注意すること

  • 評価額は売却価格の目安ではない:評価額は相続税・贈与税を計算するための数字です。実際の取引価格は個別の交渉で決まります。
  • 補正率の省略:本記事の計算例は、奥行や不整形の補正を省いています。実際の評価は国税庁の財産評価基本通達に沿って計算してください。
  • 使用貸借の場合:地代を払わない親族間の貸し借り(使用貸借)は、借地権がない扱いになることがあり、計算が異なります。
  • 専門家への確認:相続税の申告や売却価格の交渉は、税理士・不動産鑑定士・弁護士などの専門家と、国税庁の公式情報で確認してください。

よくある質問

Q1. 底地の評価額はどうやって調べますか?

国税庁の路線価図で路線価と借地権割合の記号を確認し、「自用地としての価額×(1−借地権割合)」で計算します(No.4613)。倍率地域では評価倍率表を使います。

Q2. 借地権の取引慣行がない地域とは何ですか?

借地権の取引慣行がないと認められる地域では、貸宅地の評価で借地権割合を20%として計算します(No.4613)。該当するかどうかは路線価図・評価倍率表の表示や税務署で確認してください。

Q3. 底地を売ると3,000万円控除は使えますか?

3,000万円の特別控除は自分が住んでいた家とその敷地を売る場合の特例です。人に貸している底地は通常この要件に当たりません。ほかの特例が使えるかは税理士に確認してください。

Q4. 評価額より安い価格で売っても問題ありませんか?

第三者との通常の取引で決まった価格なら、評価額を下回ること自体は珍しくありません。ただし親族など特別な関係のある相手に著しく低い価格で売ると、贈与税の問題が生じることがあるため、税理士に確認してください。

Q5. 取得費が分からない場合はどうしますか?

売却額の5%を概算取得費とする方法があります。相続した土地は被相続人の取得費を引き継ぐため、当時の売買契約書が残っていないか先に探しておくと、税額が小さくなる可能性があります。

出典(確認日:2026年10月27日)

シロク
シロクのひとこと

費用と条件を分けて、ひとつずつ確かめよう。

シロ6兄弟:運営元の系列コンテンツ